Abracadabra、MIM安定化へ緊急措置 貸出金利を引き上げ供給圧縮
DeFiレンディングプロトコル「Abracadabra」は、同社が発行する暗号資産担保型ステーブルコイン「Magic Internet Money(MIM)」がドル連動(1MIM=1ドル)から大きく乖離したことを受け、緊急対応を打ち出した。MIMは一時、想定ペッグの1ドルを50%超下回った。
同社の主な対応策は、全レンディング市場(Cauldrons)で金利を段階的に引き上げること。旧来および非推奨の市場も対象に含め、借り手に返済を促してMIMの流通量を減らす狙いがある。
Abracadabraは、ペッグを外れたMIMが市場で大幅なディスカウントで取引されている局面では、借り手が安価にMIMを購入し、額面(1ドル相当)で債務返済に充当できるため、返済を加速させる自然なインセンティブが働くと説明。供給の縮小はペッグ回復に有効な手段の一つで、借入コストの上昇によってポジション解消が進み、需給バランスの改善につながるとしている。直近の優先事項は、ステーブルコインへの信認回復、市場構造の改善、健全で流動性のあるドルペッグへの復帰だという。
MIMは2021年5月にローンチ。現金や米国債などの準備資産を保有する法定通貨担保型と異なり、利回りを生む暗号資産を担保として預け入れることでミントされる。Abracadabraは複数ブロックチェーンで稼働し、ユーザーは保有暗号資産を担保にMIMを借りつつ、担保からのイールド獲得も可能としている。
今回の乖離は6月中旬に始まり、MIMは約0.74ドルまで下落後、いったん約0.89ドルまで戻したものの、売り圧力が強まり約0.49ドルまで急落した。その後は反発が見られ、記事執筆時点では0.95ドルで取引されていた。
Abracadabraは先行して下支え策も講じていた。MIMがペッグを下回り始めた直後の6月15日、主要流動性プールであるCurve Financeのプールに10万ドルを注入。DeFiのインセンティブ戦略変更を背景とした想定外の流動性流出でCurve内のバランスが崩れたため、均衡回復を目的に実施したとしている。流動性面の支援効果は一時的にあったものの、より深い乖離の進行を止めるには不十分だった。
暗号資産担保型ステーブルコインは、過剰担保によってアルゴリズム型より耐性が高いとみなされることが多い。一方で、流動性の枯渇、市場心理の悪化、大口保有者のプール離脱などが重なると、不安定化は避けられない。