ウェルズ・ファーゴ、Cosmos活用の企業向けトークン化預金を始動

ウェルズ・ファーゴはトークン化預金の取り組みを本格化させている。Cosmosブロックチェーン・プロトコル上でトークン化預金エンジンの開発を進める一方、JPMorgan Chase、Bank of America、Citigroupと共同ネットワーク構築に参画。さらに、"WFUSD"の商標も出願し、デジタル資産のトークン化、決済処理、取引関連サービスをカバーした。 共同ネットワークは、2027年上期の立ち上げを予定。分散型台帳を用いて預金の24時間365日決済を可能にし、預金にプログラマブルな機能を持たせる設計だ。既存の規制枠組みに沿った運用を前提に、従来の勘定系システムとの互換性も確保する。新規の仕組みで外部から破壊するのではなく、既存インフラを内側からアップグレードする狙いが透ける。 コンソーシアムに加え、同社はCosmosを用いた独自のトークン化預金エンジンも構築中だ。異なるブロックチェーン間の相互運用性を重視するCosmosの特性は、複数システムとの連携が不可欠な銀行にとって合理的な選択肢となる。 国際送金分野では、2026年7月にSwiftが開始したパイロットプログラムにも参加している。これは国境を越えるトークン化預金移転に向け、ブロックチェーンベースの台帳を構築する取り組みで、世界17行が関与する。 注目を集めるのがWFUSDだ。2026年3月に出願された同商標は、デジタル資産トークン化、決済処理、取引を含むサービスを対象とする。名称からは、米ドル建てステーブルコインと正面から競合し得る預金トークンの構想が示唆される。 トークン化預金とステーブルコインの最大の違いは、信用の引受主体にある。トークン化預金はあくまで銀行預金であり、発行銀行の信用に基づき、既存の規制上の保護の枠内に置かれる。対してステーブルコインは、民間企業が保有する準備資産に裏付けられる。 銀行がトークン化預金を急ぐ背景には、暗号資産ネイティブな決済のスピードとプログラマビリティを取り込みつつ、顧客資金を規制下の銀行システム内にとどめる狙いがある。条件付きの支払い自動実行、契約条件充足時に資金が解放されるエスクロー、納品と同時に走るサプライチェーン決済など、用途は広い。 コンソーシアム網の稼働は2027年上期まで待つ必要がある。2026年8月時点で、企業顧客向けに同社が独自ブロックチェーンを単独展開する計画について、公表情報は限定的だ。現状は、コンソーシアムでの協業とCosmos基盤での開発進展が中心テーマとなっている。