ストラテジーCEOフォン・レ氏、財務体質強化ならビットコイン売却も視野
ストラテジー(Strategy)のフォン・レCEOは直近の決算説明会で、同社とビットコインの関係について踏み込んだ見解を示した。ビットコイン価格が上昇すれば同社の業績は追い風を受け、伸び悩めば投資家は値動きの荒さに備えるべきだという。
市場の注目を集めたのは別の発言だ。同社は財務体質の強化や財務指標の改善につながる場合、保有するビットコインを売却する可能性があると明かした。およそ650億ドル相当のビットコインを抱える企業として、従来の"売らない"姿勢から一歩踏み込む形となる。
同社は長年、ビットコインの買い増しと長期保有を軸に存在感を築いてきた。2025年2月にMicroStrategyから社名をストラテジーへ変更し、企業によるビットコイン保有拡大の象徴的存在でもあった。
ただし、その物語は変化しつつある。レ氏は2026年5月の決算説明会で、同社の最優先目標は"1株当たりのビットコイン保有量"を増やすことだと説明した。言い換えれば、1株当たりの指標が有利になるのであれば、保有ビットコインを一部圧縮する判断もあり得るという。
一方で同社は最近、資金面でも独特の動きを見せている。株式発行で約4億6,670万ドルを調達し、手元資金は約30億ドルに積み上がった。過去であれば即座にビットコイン購入へ回してきたが、足元では現金を温存しているようだ。
現金比率を高めることで、運営費用の確保や各種債務対応に加え、STRC永久優先株への優先配当支払いにも余力が生まれる。STRC永久優先株の年換算利回りは約11.5%とされる。2022年にCEOに就任したレ氏は、それ以前にCFO、COOを務めており、財務畑の視点が現在のバランスシート運営に反映されている格好だ。
投資家にとって、ストラテジー株は従来から"レバレッジ付きのビットコイン連動銘柄"として捉えられてきた。レ氏もこの点を認め、弱気相場では相対的に振るわず、強気相場では上振れしやすいと述べた。
今回のビットコイン売却の可能性と現金積み上げは、新たな変数となる。ストラテジーは下落局面でただ耐えるのではなく、状況に応じて手を打つ姿勢を市場に示したとも言える。
同社は世界で最も注目度の高い企業のビットコイン保有者であり、その方針は他社の財務運営にも影響を与えやすい。"1株当たりのビットコイン"最適化という枠組みが広がれば、無制限な買い増しよりも、従来型の金融指標で株主価値を高めることを重視する企業向け暗号資産戦略の新たな雛形となる可能性がある。