Rain、米国ナショナル・トラスト銀行免許を申請 暗号資産系チャーターを巡る訴訟のさなか

AI マーケットサマリー
Rainによる米国のナショナル・トラスト・バンク(信託銀行)免許の申請は、連邦監督下の暗号資産カストディ、およびGENIUS Actの下での潜在的なステーブルコイン発行に向けた機関投資家の後押しが継続していることを示唆している。しかし、暗号資産に特化した信託免許を付与するOCCの権限に異議を唱えるコミュニティ・バンクによる係争中の訴訟が、重要な規制上の不確実性を追加しており、承認の遅延につながり得る。短期的な影響は、暗号資産全般の需要というより、ステーブルコインおよびカストディのインフラに関する期待に集中している。
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CoinDeskによると、ステーブルコイン決済基盤を手がけるRainが、米通貨監督庁(OCC)に米国ナショナル・トラスト銀行の設立認可を申請した。承認されれば、デジタル資産のカストディ、ステーブルコイン準備金の管理、米ドル連動型ステーブルコインの発行が可能になる。 Rainが想定する「Rain National Trust Bank」はニューヨークに本社を置き、OCCの監督下で別途資本を持つ子会社として運営する。Rain本体はステーブルコイン決済プラットフォームのまま存続し、銀行へ転換しない。 同社によれば、同行は預金を受け入れず、当座・貯蓄口座などのリテール口座や消費者向け口座の提供、商業融資の実行もしない。FDIC(連邦預金保険公社)の預金保険が付かない「無保険のナショナル・トラスト銀行」として運営し、カストディ資産は引き続き顧客資産として扱われ、銀行の負債にはならない。発行するステーブルコインを裏付ける準備金についても、担保設定、貸し出し、再利用は行わないとしている。 GENIUS法の枠組みの下では、提案中の同行が承認済みステーブルコイン発行体の準備金管理を担う可能性がある。Rainは、承認後に機関投資家向けに主に3つの事業を提供すると説明した。(1) 承認済みデジタル資産と米ドルの信託(受託者)カストディ(顧客資産は銀行自己資産と分別管理)、(2) 承認済みステーブルコイン発行体の準備金管理、(3) GENIUS法に基づく米ドル連動型ステーブルコインの登録発行体としての業務。 RainのCEO兼共同創業者ファルーク・マリク氏は、同社インフラを利用する顧客は、プロジェクトの裏付け資産が連邦規制当局の監督を受けるカストディアンに保管されることを求めているとし、提案銀行は独立した主体としてOCCの監督下で顧客資産を保有すると述べた。Rainは現在、ステーブルコイン対応カード、ウォレット、送金のインフラを提供しており、提携先は数百万人規模のエンドユーザーにサービスを提供している。現状は州レベルのライセンス、外部カストディアン、第三者ステーブルコイン発行体の組み合わせに依存しており、今回の申請は、その一部機能を連邦の信託銀行の枠内に取り込む狙いがある。 経営体制として、Rainはブランダン・ソト氏を提案銀行の社長兼CEOに指名した(OCCの審査対象)。ソト氏は、Block傘下で州認可のインダストリアルバンクであるSquare Financial ServicesのCFOを務めた後、Coastal Financial CorporationでもCFOを歴任している。 暗号資産関連のトラスト銀行チャーターを巡っては法的な緊張が高まっている。Rainの申請の数日前、独立系コミュニティバンク団体のIndependent Community Bankers of America(ICBA)が、OCCによるナショナル・トラスト銀行チャーターの法的枠組みに異議を唱え、連邦裁判所に提訴した。暗号資産や決済企業が連邦銀行制度にどう参入すべきかを巡る議論のなかで、Rainの申請も注目を集める形となっている。 訴訟は2026年10月2日、ICBAが米コロンビア特別区連邦地方裁判所に提起したもの。事件名は「Independent Community Bankers of America v. Office of the Comptroller of the Currency」、事件番号は1:2026cv03441で、担当はカール・J・ニコルズ判事。ICBAは、OCCが2026年3月に示した規則(Interpretive Letter 1176)と、Protego Holdingsに与えられた条件付き承認を争点として、限定目的チャーターの下でナショナル・トラスト銀行に受託業務以外の活動を認めるのは権限逸脱だと主張している。これらの主張は現時点で裁判所の判断は出ていない。ICBAは、3月の規則とInterpretive Letter 1176を違法と宣言すること、同枠組みによる追加承認の差し止め、Protegoの条件付き承認の取り消しを求めている。 OCCは見解を異にする。規則を公表した2月の発表で、受託業務を行うナショナル・トラスト銀行が非受託の活動も行えるとする従来からの権限を明確化したに過ぎず、認可権限を拡大も縮小もしないと説明した。同規則は4月1日に施行。Banking Diveによれば、OCC報道官は月曜日、訴訟についてコメントしないと述べた。ジョナサン・グールド長官も以前、トラスト銀行申請の審査は「ゼロリスク」基準ではなく、申請者が合理的に成功し得るかを評価するものだと説明していた。 デジタル資産・決済企業によるカストディ、決済、ステーブルコイン関連の権限を目的とした申請は各社で進んでいる。Circleは2026年7月、OCCからFirst National Digital Currency Bank(名称はCircle National Trust)の最終承認を取得し、当初は受託型デジタル資産カストディから開始し、将来的に一部の機関投資家向けサービスを想定しているとされる。ほかにも、Agoraは4月の申請後、9月に予備的な条件付き承認を得た。ZerohashはOCCから差し戻しを受け、8月に修正版を再提出している。 Rainの申請は現在、OCCの審査とパブリックコメント手続きに入っている。申請が承認されるまで提案銀行は営業を開始できず、一般公開部分の申請資料はOCCウェブサイトに掲載される見込み。OCCの判断時期は示されておらず、審査は当局のスケジュールで進む。Rainは申請準備に法律事務所Paul Hastingsと協働した。ソト氏の社長兼CEO就任もOCCの審査対象で、必要な規制当局の承認をすべて取得して初めて同行は開業できる。 ICBAの提訴は初期段階にある。公開裁判記録によれば、10月2日の提訴後に代理人が出廷し、被告および連邦当局者に対する召喚状が電子的に送達された。Rainは、ナショナル・トラスト銀行構想は複数年にわたる取り組みであり、OCCの審査期間中もカード、ウォレット、資金移転の既存サービスは継続するとしたうえで、必要な承認を得るまで提案銀行は営業を開始しないと説明している。