NEAR相場見通し:ステーブルコイン急増と"プロトコル・ソブリン・ファンド"構想が回復期待を後押し
NEAR Protocol(NEAR)は、オンチェーン指標の改善とテクニカル面の落ち着きが重なり、反発の兆しを見せている。価格は年初来高値からはなお大きく下落した水準にあるものの、短期の値動き以上にネットワーク内部の変化へ注目が集まり始めた。
直近では、ネットワーク上のステーブルコイン流動性が1週間でほぼ倍増し、資金流入とエコシステム活動の回復を示唆する。市場では、買い手が重要なサポート帯を守り切れるか、そしてファンダメンタルズの改善が次の回復局面の燃料になるかが焦点となっている。
■ ステーブルコイン供給量が1週間で98%増、NEARへの資金流入を示唆
エコシステムにとって強気材料となっているのが、ステーブルコイン市場の急拡大だ。DeFiLlamaのデータによると、NEAR上のステーブルコイン供給量は過去7日間で98%増加し、約1億2,800万ドルまで拡大した。
流動性の増加は、DeFiの利用増、ユーザー参加の拡大、分散型アプリ(dApp)における取引環境の改善につながりやすい。今回の増加により、ステーブルコイン供給量の規模でNEARはCardano、Polkadot、XDCといった既存のレイヤー1を上回った。
投機的な取引だけで説明しにくい伸びであり、ネットワーク利用の改善を示すシグナルとして長期の採用動向を測る投資家が重視する領域でもある。ステーブルコイン流動性の拡大は、オンチェーン需要の先行指標として機能してきた経緯があり、足元ではNEARにとって数カ月ぶりの建設的なファンダメンタルズ材料とみられている。
■ 共同創設者が"プロトコル・ソブリン・ファンド"を提案、長期目線の信頼感を強化
投資家心理を支えている要因として、NEAR共同創設者のIllia Polosukhin氏が提起したガバナンス提案も挙げられる。同氏は"Protocol Sovereign Fund(プロトコル・ソブリン・ファンド)"の構想を提示し、約3,000万NEARトークンを原資に、専門家が運用する財務(トレジャリー)を設けて持続的な利回りの創出を目指すとしている。
トークン発行(エミッション)への依存度を下げ、収益の反復的な獲得によってエコシステム開発を資金面で支えつつ、インフレ圧力の緩和にもつなげる狙いだ。提案はなおコミュニティで議論中だが、トークノミクスの進化としてNEARの長期価値を補強し得るとの見方が広がる。ステーブルコインの伸びと合わせ、NEARがより健全な成長局面に移りつつあるとの期待を強めた。
■ NEAR価格分析:次は大きな上放れか
NEARは、長期の売り圧力が続いた後、下値を固める局面に入った可能性がある。日足では1.70〜1.75ドル付近が繰り返し下支えされ、弱気局面での再下落を回避してきた。
一方、6月以降の戻り局面を抑えてきた下降トレンドラインの上限に接近しており、ブレイクの可否が分岐点となっている。RSI(相対力指数)も売られ過ぎ圏から回復し始め、弱気モメンタムが徐々に後退していることを示す。
上方向では、買い手が1.80ドルを回復できれば、最初の上値目標は2.20ドル近辺となる。ここは過去のサポートがレジスタンスへ転じた水準だ。2.20ドルを明確に上抜けて定着すれば、2.50〜3.00ドルの供給帯が視野に入り、ここ数カ月で最大級のリカバリー局面につながる可能性がある。
下方向では、1.70ドルのサポート割れが強気シナリオの前提を崩し、1.55ドル近辺までの押し戻しを招くリスクがある。
■ 次のレイヤー1回復局面で主役になれるか
NEARの価格は主要レジスタンスの下にあるものの、ファンダメンタルズの改善ペースは加速している。ステーブルコイン流動性の急増に加え、財務戦略の見直しにつながり得る構想が出てきたことで、テクニカル指標が安定し始める局面で投資家の信頼感が強まった。
明確なトレンド転換にはレジスタンス上抜けの確認が必要だが、NEARはレイヤー1の中でも回復ストーリーを着実に積み上げつつある。エコシステム成長が続き、強気勢が重要なテクニカル水準を奪還できれば、暗号資産市場の次の回復局面で相対的に優位な推移となる余地がある。