FinCEN、暗号資産ミキシングの報告義務案を撤回 業界の反発受け

AI マーケットサマリー
FinCENが提案していた暗号資産ミキシングに関する報告規則を撤回したことで、プライバシー隣接の取引フローに対する短期的な規制上の重荷が軽減され、米国の金融機関にとって想定されるコンプライアンス負担が低下する。この動きはまた、FinCENが2023年に国際的なミキシングを主要なマネーロンダリング上の懸念事項に指定した措置を覆すものであり、正当な活動を萎縮させ得る過度に広範な定義に対する懸念を和らげる。既存のAML、トラベルルール、および疑わしい活動に関する義務は引き続き有効である。
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米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は10月5日、暗号資産の「ミキシング」(取引の送信元・送信先・金額などを分かりにくくする手法)に関する報告義務の提案を撤回すると発表した。専業のミキシングサービスに限らず広範な取引を対象とし、金融機関に対象取引と顧客情報の報告を求める内容だった。 FinCENは、国際的な暗号資産ミキシングを「主要なマネーロンダリング懸念となる取引の類型」と位置付けた2023年の認定と、記録保存・報告を義務付ける規則案の双方を取り下げる。撤回通知は10月6日に官報(Federal Register)掲載予定で、掲載と同時に効力を生じる。 FinCENは撤回理由として、定義が過度に広く正当な活動を萎縮させかねないこと、金融機関に大きな報告負担を課すとの意見が寄せられた点を挙げた。提案された定義は、利用するプロトコルやサービスを問わず適用され、資金のプール、コードによる取引の協調、送金の分割、使い捨てウォレットを連ねた経路設定、暗号資産間の交換、利用者が意図的に遅延を入れる手法などが例示されていた。 義務の発動条件は、対象となる米国内金融機関が、自機関を介する、または自機関宛ての暗号資産取引について、ミキシングが関与している、もしくは米国外の法域を伴うミキシングが関与していると知っている、疑っている、または疑う相当な理由がある場合。FinCENは未施行だったミキシング報告計画を撤回する一方で、送金業者(マネー・トランスミッター)としての既存の規制や送金・疑わしい取引(SAR)に関するルールは引き続き適用されるとしている。 定義には例外も設けられていた。銀行、ブローカーディーラー、マネーサービス事業者(MSB)が取引執行のために用いる内部プロセスのうち、送信元・送信先の記録を保持し、法的要請に応じて提出できるものは除外対象とされた。 ウォレット利用者にとってのプライバシー面の焦点は、金融機関の報告を通じた情報露出だった。報告には、ウォレットアドレス、トランザクションハッシュ、IPアドレス、金融機関が保有する顧客の本人確認情報などが含まれ得るとされ、金融機関にはコンプライアンス実施の文書化も求められていた。 既存の枠組みは維持される。FinCENの現行ガイダンスの下では、対象となる暗号資産の送金事業者は、登録義務、リスクに応じたマネーロンダリング対策(AML)プログラム、適用される顧客確認、記録保存、疑わしい取引の届出を引き続き負う。要件を満たす送金は「トラベルルール(Funds Travel Rule)」の対象でもある。ガイダンスは、価値を受け取り再送信する匿名化サービスと、匿名化ソフトウェアを提供するだけの事業者を区別しており、ツール提供のみで直ちに送金業者とはならない一方、送金ビジネスを運営していれば該当し得る。非カストディアル(アンホステッド)ウォレットの利用者が自己のために商品・サービスの代金を支払う行為は、それだけで送金業に当たらないとされる。 FinCENは今回、別件として2020年12月に公表したアンホステッドウォレットに関する提案にも言及した。同案は2024年4月12日付で2024年春の規制アジェンダ上「撤回」とされており、新たな通知では今後追加の措置を取らないとした。 FinCENは、暗号資産ミキシングがマネーロンダリングやテロ資金供与などの不正行為に利用されていないか監視を継続し、必要に応じて追加措置を講じる可能性があると説明。プライバシー関連取引の評価においても、金融機関の既存義務が引き続き重要になるとしている。