FinCEN、2020年の「非カストディ型」暗号資産ウォレット規則案を撤回
AI マーケットサマリー
FinCENによる2020年の"unhosted wallet"報告提案の撤回は、自己管理による送金に対する、米国の特定のコンプライアンス上の重荷を取り除くものであり、これまで銀行およびMSBにとって運用面で負担が大きいと見なされていた。既存のAMLおよびトラベルルールの義務は残るものの、この決定はノンカストディアル・ウォレットの利用を巡る短期的な規制強化リスクを低減し、自己管理に紐づくオン/オフランプを支援することに対する、使い勝手の認識および機関投資家の意欲を改善する可能性がある。
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米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は10月5日付の官報(Federal Register)掲載通知で、2020年に示した「非カストディ型(unhosted)」暗号資産ウォレットを伴う取引に報告・記録保存義務を課す提案を撤回した。FinCENは当該規則案について追加措置を取らないとしている。
今回の撤回により、銀行やマネーサービス事業者(MSB)に対し、顧客が自己管理(self-custody)ウォレットへ暗号資産を送受信するたびに本人情報や取引データの収集を求める枠組みは終結する。規則は発効に至らなかったものの、暗号資産業界からは長期にわたり批判が続いていた。
■ 2020年提案の主な内容
2020年12月23日に公表された規則案(RIN 1506AB47)は、非カストディ型、または「その他の対象ウォレット」を用いた取引について、銀行・MSBにFinCENへの報告と顧客本人確認を義務付けるものだった。対象は、1件あたり1万ドル超、または24時間以内の合算で同額を超える取引。3,000ドル超の取引では記録保存と本人確認が求められる設計だった。
規則案では「非カストディ型ウォレット」を、取引処理に金融機関の関与が必須ではないウォレットと定義。「その他の対象ウォレット」は、銀行秘密法(Bank Secrecy Act)の適用が及ばない海外金融機関で保有されるウォレットを指すとしていた。対象資産はコンバーチブル・バーチャル・カレンシー(convertible virtual currency)に加え、法定通貨としての地位を持つデジタル資産も含まれる。
■ 撤回の背景
FinCENは、撤回をデジタル資産規制を「目的に適合(fit-for-purpose)」させる政権の取り組みの一環と位置付けた。通知では、大統領令14178「デジタル金融技術における米国のリーダーシップ強化(Strengthening American Leadership in Digital Financial Technology)」に基づき設置された「デジタル資産市場に関する大統領作業部会(President's Working Group on Digital Asset Markets)」の報告書にも言及している。
業界側は、同提案が一般の自己管理ウォレット利用者を事実上の金融取引相手として扱い、活動を規制の及ばない場へ押しやると批判してきた。撤回は副局長のJimmy L. Kirby氏が署名し、10月6日に正式公表される予定。
■ 自己管理とコンプライアンスへの影響
銀行・MSBには、既存のマネーロンダリング対策(AML)規制が引き続き適用される。暗号資産のトラベルルール(一定の移転で顧客情報の共有を求める義務)も含まれ、今回の撤回でこれらの義務がなくなるわけではない。
自己管理ウォレットの利用者にとっては、特定の連邦レベルの報告義務が課されるリスクが後退する一方、AMLを巡る全体環境は維持される。海外では本人確認要件の拡大が続いており、欧州連合(EU)では2027年のAML規則で、暗号資産の臨時利用者にも顧客確認を広げるほか、現金支払いの上限を設ける方針が示されている。