米政府、ドル建てステーブルコインの海外普及策を検討

AI マーケットサマリー
ブルームバーグは、米国がGENIUS法の実施が進む中、公民連携のジョイントベンチャーを通じてドル担保型ステーブルコインの海外での利用促進を検討していると報じた。政府とつながりのある推進は、ステーブルコインの世界的な流通を加速させ、規制の明確性を強化し、米国債保有に紐づくステーブルコイン需要を一段と深める可能性がある。暗号資産市場にとって、これはCBDCとの競争の中で、ステーブルコインのレールに対する政策支援の拡大と、オンチェーンのドル決済のより広範な制度化が進むことを示唆している。
影響度
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ブルームバーグによると、トランプ政権は、米ドルに連動するステーブルコインの米国外での利用を後押しする構想を検討している。狙いは、基軸通貨としてのドルの地位を一段と強固にすることだという。計画に詳しい関係者の話として、米政府が民間企業と合弁(ジョイントベンチャー)を組む形でステーブルコイン関連プロジェクトを支援する可能性があると報じた。関与する機関として、財務省、国務省、米国際開発金融公社(DFC)などが挙げられている。ブルームバーグは水曜日に詳細を伝えた。 報道のポイントは3つある。1つ目は、ドル建てステーブルコインの海外採用を促す米政府主導の取り組みが浮上している点。2つ目は、その手段として民間企業との合弁が軸となり、複数の連邦機関が関与し得る点。3つ目は、ステーブルコインの拡大を「ドル覇権の維持」と「米国債需要の押し上げ」に結び付ける見方が、米当局者の発言として繰り返し示されてきた点だ。各国・地域でCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実証や国境をまたぐ決済基盤の整備が進む中、米国の動きが重なる格好となる。 今回の構想は、ドル建てステーブルコインを単なるフィンテックではなく、国際決済におけるドルの存在感を支える「インフラ」とみなす政策潮流を映す。2025年2月には、当時ホワイトハウスで暗号資産とAIを担当していたベンチャーキャピタリストのデービッド・サックス氏が、ステーブルコインは「国際的にドルの支配力を拡張し得る」うえ、「米国債に対する追加需要として数兆ドル規模を生み得る」と主張した。 規制面でも、こうした論理は繰り返されている。2025年7月、スコット・ベッセント米財務長官は、決済用ステーブルコインに連邦レベルの規制枠組みを設けたGENIUS法について、ドルの準備通貨としての地位を強化し、ドル経済へのアクセスを広げ、米国債需要を高め得るとの見解を示した。Cointelegraphは、規制がドルの優位性を「固定化(cement)」する狙いを持つという主張や、外国発行体の扱いがなお不明確だという懸念も伝えている。 海外展開の検討が続く一方、国内の制度整備は進行している。財務省はGENIUS法の実施に向け、決済用ステーブルコインの発行・提供・販売の在り方を定める規則策定を進めている。8月17日には、決済用ステーブルコインの発行、提供、販売を規律する条項について意見募集を行う規則案(notice of proposed rulemaking)を公表した。 投資家や市場関係者にとって重要なのは、海外での普及には予見可能なコンプライアンス枠組みが不可欠になる点だ。公的支援の対象となり得る案件ほど、規制の明確性が求められる。政府が関与する推進策は、海外での競争環境にも影響し得る。流通・提携の加速や、ドル建てステーブルコインを決済や小売支払いに使える法域の拡大につながる可能性がある。 国際的な競争も激しさを増している。決済近代化の文脈では、CBDCの取り組みや越境実証が各地で進む。Cointelegraphによれば、中国のデジタル人民元は、越境CBDC取引を目的とするプラットフォーム「Project mBridge」で利用されている。欧州では、欧州中央銀行(ECB)がデジタルユーロの12カ月パイロットを準備しており、2027年後半の開始が見込まれると報じられている。CBDC、トークン化資産、ステーブルコイン基盤の決済ネットワークといった複数のレールが並走する中で、米国が海外でドル建てステーブルコインを後押しすれば、競争のただ中に踏み込む形になる。 不透明な点も多い。ブルームバーグは、民間企業との合弁を通じて国際採用を促す可能性や、財務省・国務省・DFCが関与し得ると伝えたものの、枠組みの具体像、対象とする国・地域、適用される規制上の制約は明らかになっていない。Cointelegraphは、米財務省、DFC、複数の米国拠点のステーブルコイン企業にコメントを求めたが、掲載までに回答は得られなかったとしている。 今後は、どの活動が支援対象となり得るのか、GENIUS法の実施とどう整合させるのか、米国債需要の押し上げという目標が測定可能な政策手段に落ちるのかが焦点となる。