ブロックチェーン協会、ステーブルコイン発行体のKYCは"一次市場に限定"を要請

AI マーケットサマリー
ブロックチェーン協会は規制当局に対し、ステーブルコイン発行体のKYC/CIP義務を一次市場でのミント/償還に限定するよう求めており、二次市場でのDEXスワップには直接の顧客関係が存在しないと主張している。また、5年間の記録保持規則の下で長期的な個人データ保管リスクを低減しつつコンプライアンスを満たす手段として、ゼロ知識証明の活用も推進している。同書簡は、各機関がGENIUS法のステーブルコイン要件を異なるタイムラインで導入するにつれ、実装面での摩擦が生じ得ることを強調しており、DeFiのレール全体でコンプライアンス期待に影響を及ぼすとしている。
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ブロックチェーン協会は8月21日、連邦規制当局にコメントレターを提出し、ステーブルコイン発行体に課される顧客確認(KYC)ルール案の適用範囲が広すぎるとして見直しを求めた。主張の柱は、スマートコントラクトを介して分散型取引所(DEX)でステーブルコインを購入した利用者について、発行体が本人特定の責任を負うべきではないという点だ。 今回の意見は、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)、米連邦準備制度理事会(FRB)など複数の連邦機関が共同で提示した規則案に対するもの。規則案は、GENIUS Actに基づき"許可された決済用ステーブルコイン発行体"(PPSI)に顧客識別プログラム(CIP)の要件を導入する内容となっている。GENIUS Actは2025年7月18日に署名され、米国で決済用ステーブルコインを対象にした初の包括的な連邦枠組みとなった。 協会はKYC自体を否定していない。規則案の方向性には概ね賛同しつつ、義務がどこまで及ぶべきかで線引きを求める立場を示した。提案されているCIPは銀行の既存義務を参考に設計され、発行体に対し、顧客の氏名、生年月日、住所、本人確認番号の収集を求める。さらに、口座閉鎖後5年間の記録保管が義務付けられる。 協会が適用対象とするのは、発行体と顧客の間に明確な契約関係がある場面に限るべきだという。具体的には、ステーブルコインの直接の発行(ミント)と償還(リデンプション)を行う一次市場の取引で、発行体と顧客が実際に取引当事者として向き合う(対面、または画面越し)ケースを想定する。一方、二次市場での取引は性質が異なる。分散型プロトコル上でのスワップでは、発行体と購入者の間に直接の関係はなく、発行体に識別義務を負わせるのは実務上も困難で、ブロックチェーンのインフラの実態とも整合しないと訴えた。 本人確認の方法についても、協会は柔軟性を求めた。CIP要件を満たす手段として、ゼロ知識証明(ZK)技術を認めるべきだと提案している。ゼロ知識証明は、個人情報そのものを開示せずに、例えば"18歳以上"や"本人確認済み"といった事実を相手に証明できる仕組みで、暗号学的に主張の正しさを担保する。 規則案の"口座閉鎖後5年"の保管義務は、個人データを長期に保持するリスクを際立たせる。氏名、住所、ID番号などの大量保有は攻撃対象になり得るため、プライバシー保護型の検証手法を活用すれば、発行体は過度な個人情報の蓄積を避けつつコンプライアンスを満たせると協会は指摘した。 協会は運用面の課題として、当局間のスケジュール不一致も挙げた。GENIUS Actが新たな規制区分を設けた一方、実装を担う各機関が異なるタイムラインで動いているため、発行体が重複や矛盾する遵守期間に直面するおそれがあるという。コメント提出は、規則策定プロセスで設定された2026年8月の期限に合わせたものとなっている。